東京高等裁判所 昭和60年(ネ)2781号 判決
一番抵当権設定当時には土地と建物とが同一人の所有ではなかったが、二番抵当権設定前に土地と建物とが同一人の所有に帰属するに至り、二番抵当権を標準とすれば法定地上権成立の要件が充足されている場合には、右一番抵当権に基づいて土地又は建物が競売されたときであっても、競落人は法定地上権を取得するものと解すべきである(大審院昭和一四年七月二六日判決・民集一八巻七七二頁、最高裁判所昭和五三年(オ)第五三三号昭和五三年九月二九日第二小法廷判決・民集三二巻六号一二一〇頁参照。)
ところで、本件建物が建築されたのは前記1のとおり昭和五五年六月三〇日であるところ、≪証拠≫によれば、本件土地について任意競売申立登記が経由されたのは昭和五三年一一月一一日であることが認められるから、本件建物の再築は右競売手続開始に基づく差押えの効力が発生した後のことである。しかし、土地に抵当権を設定するに当って建物の存続を考慮して評価されている場合には、建物が滅失したまま放置され潜在的に取得した法定地上権を放棄したと認められるような場合など特段の事情の認められない限り、競売開始決定後に建物が再築されたとしても、法定地上権の成立を肯認すべきであるところ、本件においては、右特段の事情の存在についての主張立証がない。
(佐藤 篠田 関野)